茨城県郷土民族芸能の集い(2)浅川のささら(大子町)
◆平成21年度(第33回)茨城県郷土民族芸能の集い(3)浅川のささら(大子町)
◆日時:[2009]平成21年11月28日(土)
◆会場:常陸太田市パルティーホール
◆目的:郷土伝統文化の普及と伝承
◎浅川のささら
こんなによく跳ねる獅子舞はどこにもないのではないでしょうか、始めてみました。
10年くらい前、大子町に残る木造校舎や二宮金次郎像を収録していたころ、山裾の神社への入口に「浅川のささら」 の案内板をみて興味を抱き、いつかは取材したいと思いつつ、その機会がなく今日に至って、始めて見て感激した獅子舞です。
浅川のささらは茨城県の最北の地八溝山の麓 大子町浅川地区に伝わる、一家の長男だけが継承する獅子舞で、熊野神社、近津神社の20年に一度の祭礼に際し、神輿の露払いとして演技する以外は門外不出となっているお祭りです。
獅子舞の舞台としては、しめ縄を張り、羽織袴の警護役が4名つく。
横笛役の羽織の襟袖に幣束を差しているのが独特。
獅子頭に取り付ける鶏の尾羽は1羽の鶏から2本しかとれない。尾羽を確保するため保存会で鶏を飼育していて、そのエサ代は大子町で負担していただいている。
この日、紹介された舞を順にメモすると
舞1.かいどう・・・近津神社で神輿の出社のおり、露払いとして出社前に奉納される。
舞2.いれは・・・世の中の平和を祈る舞
舞3.うたたね・・全てのものの休息を意味する舞で、静かに舞う。
舞4.ふっくづし・・出陣を表現する勇ましい舞
舞5.すっこまい・・もっとも激しい舞
舞6.ししんまい・・勝利の喜びを表現している
舞7.とどのめ・・・締めくくりの舞
舞8.かいどう・・・神社にもどって舞う
◎浅川のささら (茨城県郷土民族芸能の集い出演者団体紹介パンフレットより:当日配布)
茨城県指定無形民族文化財
浅川のささらは、大子町浅川の熊野神社、真弓神社および古来縁故のある下宮近津神社の祭礼に、神社の露払いとして出場する以外は門外不出となっている。
また、浅川の両鎮守の各20年に一度の正遷宮祭典に際しては、奉納獅子舞を演じるならわしになっている。
獅子三頭は、太郎獅子、次郎獅子、女獅子と称し、笛の囃子に合わせて太鼓を打ちながら舞う。
獅子頭は水戸光圀公拝領のものと伝えられ、茨城県指定有形民族文化財となっている。
◎浅川のささらの由来 (淺川のささら保存会発行のパンフレットより:当日配布)
淺川のささらは、大字浅川の熊野神社に伝わる獅子舞である。
伝承によれば、水戸義公の時代、久慈郡西金砂神社の田楽祭に当り、浅川のささらも自製の獅子頭で参加していたが、その際義公は領内の郷土芸能を鑑賞されており、浅川の獅子は、西金砂神社の獅子舞と共に義公の御前で演舞したところ、浅川の舞技巧妙を極めたので義公は大いに悦ばれ、褒美として公秘蔵の獅子頭三体を賜り、重ねて拝領の獅子頭でお礼のため再び熱演したところ、ますます公の御満悦を得、面目をあげて帰村したという。
現在の獅子舞がこの義公から拝領したもので、鎌倉時代の名工春日の作と伝えられる。
獅子頭は現在熊野神社の宝物として収蔵庫に納められ、ささら獅子舞は浅川上・下の熊野神社、真弓両鎮守の出社祭典の時及び古来縁故のある下野宮近津神社の祭典には、神官の静粛なる清祓を受け神輿の露払いとして出場する以外は門外不出となっている。
また、浅川の両鎮守の各20年に一度の正遷宮祭典に際しては、奉納獅子舞を演じる慣わしになっている。
獅子三頭は、その名を太郎死獅子(浅川太郎)、次郎獅子(水戸保内次郎)、女獅子と称し、舞の序列は右から太郎獅子、女獅子、次郎獅子の順に並んで10種の舞を奉納する。その曲名もまことに古典的で、悠遠な日本歴史にふさわしい。
即ち、
1.かいどう 2.いれは 3.ひいらいとうらい 4.おひやらひやろう
5.おかざき 6.うたたね 7.ふっくづし 8.すっこまい
9.しいんまい 10.とどのめ
の舞である。
舞手は、三人揃の襦袢に襷をかけ、かるさん、手差し、白足袋、麻裏草履をつけ、獅子頭をかぶり、胸下に太鼓を抱きバチを持つ。
囃方の笛吹は4人、紋付羽織袴、白足袋、麻裏草履、背襟に幣束を差し横笛を持つ。
この7名は村内の青年で、永住性のある嫡男の中から神への奉仕者として、身体健康で品行方正、思想堅実な者を決定する。
新旧の交代は、熊野神社20年毎の正遷宮祭典に際し、旧手によって新手を教育養成し、新手は次の正遷宮祭典まで20年間は獅子に関する芸能の保存維持継承の絶対的責任を果たす義務を負う習わしである。
このように堅い約束事として伝承されているので、選ばれた7名は期間中堅実な身持ちを続けなければならないわけで、自然生活態度にもある種の制約を伴うことになるが、選ばれたものはこれを一家の名誉と考えている。
また祭日には、獅子の宿となる家は古来仮行宮の出切る所に近く、選ばれた宿の家もまたこれを名誉としている。
浅川のささらは、江戸時代元禄年間より300有余年の伝統を受け継ぐ郷土の民俗芸能である。熊野神社及び真弓神社の氏子。趣旨賛同者では、「浅川のささら保存会」を組織して、この貴重な郷土芸能の保護と伝承にあたっている。
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